
呼吸機能検査では、肺の大きさや気道の柔軟性、肺から血液への酸素の取り込みなど、呼吸の各プロセスをチェックします。
喘息やCOPDなどの呼吸器疾患の場合
画像診断ではわからない肺や気管の状態を知ることができます。
また、呼吸機能検査の結果をもとに治療方針を決めることもあります。
COPDとは、タバコが原因で息切れや咳・痰が慢性的に続く病気のことです。
自覚症状が出る頃には症状は進行していることが多く、 呼吸機能検査では症状が出ていない早期の段階からCOPDを発見することができます。
大きな手術を控えている場合
呼吸機能が低下している方では、大きな手術、特に全身麻酔をかける手術において無気肺(気道が詰まることなどが原因で肺の一部がつぶれてしまう状態)や 肺炎などの術後合併症が起こる危険性が高いことがわかっています。
呼吸機能が低下し、手術のリスクが大きいとわかった患者さんに対しては、手術中や術後の管理をより慎重にして対応しています。
■ 検査中は鼻をクリップでつまみ、マウスピースをくわえて口呼吸をしてもらい
ます。
■ 最大限の努力をした状態での肺の機能を検査します。
■ どれだけたくさん吸ったり吐いたりできるかを検査します。

■ 大きく息を吸ってから息を最後まで吐ききります。(息を吐ききってから大き
く息を吸う場合もあります)
■ 吸うときは背筋を伸ばして胸いっぱい吸い、 吐くときは腹筋で肺の中の空気
を押し出す気持ちで吐いてください。

息を勢いよく吐いた時の、気道の細さを検査します。
長期間タバコを吸っていると、肺気腫や気管支の病気になるリスクが大きくなります。肺気腫では強く吐くことができなくなるため、1秒量は減少し、少しの運動でも息切れが強くなります。
■ 大きく息を吸ってから一気に最後まで息を吐きます。
■ 勢いよく吐いた時の勢いの強さ(ピークフロー)や、最初の1秒間でどれだけ
の量を吐けるか(1秒量)などを検査しています。

肺の中の酸素が毛細血管中に拡散する効率(下の図の黄色い矢印)を検査します。


肺の容量を検査します。息を吐ききった状態でも肺には一定量の空気が残っています。その空気がどのくらいあるのかを検査します。

胃潰瘍や胃がんの原因と言われているヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)という菌が、胃の中にいるかどうかを調べる検査法の1つです。

検査用の薬を飲み、呼気バッグに呼気を吹き込むという、痛みもなく簡単な検査です。
ピロリ菌が胃の中にいた場合、ピロリ菌の持つ性質によって尿素が分解され、 呼気中に尿素の分解産物が排出されます。
ピロリ菌がいなかった場合、尿素は分解されずにそのまま尿中に排泄されます。
ピロリ菌の検査には他にも内視鏡や血液検査などの方法があり、これらを組み合わせて結果を判断します。
■ 検査を受ける4時間前から食事をしないで来て下さい(食事をした場合、検査
結果に影響を与える可能性があります)。
■ 錠剤を飲む前と、錠剤を飲んでから20分後の呼気を採取します。
■ 検査用の錠剤(尿素)を1錠飲んでいただきますが、尿素は体内にも存在する
物質ですので、副作用やアレルギーなどの心配はありません。
■ 検査終了後、結果が出るまで20分ほどかかります。